へぎそば(布海苔そば)のつくり方

「へぎそば」とは、つなぎに布海苔(ふのり)という海草を使用するのが特徴の新潟県魚沼地方独特の地方そば。古くからの地場産業である「小千谷ちぢみ」を織る際に糊付け用に使われていた布海苔を、そばのつなぎとして使用するようになったものと言われている。へぎそばの「へぎ」とはそばを盛り付けてある木箱のことで、また、そばを水から上げるときに手を振るようにして一口大にまとめて盛りつけることから、「手振りそば」とも言われる。私にとって魚沼地方は、登山・釣り・山菜・スキーと、少なからぬ時間を空費?した思い出深い曽遊の地であり、当然ながら、へぎそばも楽しみの一つだった。中越地震以後、すっかり足が遠のいてしまって不義理をしている魚沼の山河を想いつつ、ネットで調べた情報を頼りに、へぎそば作りに挑戦してみた。

材料

ふのり・・・12g(乾燥状態で)
そば粉・・・400g

材料を用意する

へぎそばの作り方をネットで検索して色々と調べて内容を精査したところ、使用する布海苔の量は、「そば粉1㎏に対して、乾燥状態で30gが標準」で、「糊化させた布海苔の分量は、そば粉の重さの55%が目安」とのこと。スーパーの乾物コーナーに12グラム入りの布海苔があったので、それを購入した。乾燥布海苔12グラムから逆算すると、使用するそば粉の量は400g、煮詰めて糊化させる布海苔の量は220グラムということになる。

また、布海苔を煮詰めて緑色に変化させるためには銅鍋を使う必要があるとのことだが、あいにく家には銅鍋はないし、ホームセンターを3軒回ってみたが銅鍋は置いてなかったので、銅イオンの働きで漬物の緑色を強めるために使う「漬もの名人」という銅板を買って、煮詰める時に鍋に入れて試してみることにした。さて、効果の程は如何に??

国内産ふのり(12グラム)

国内産ふのり(12グラム)

発色用に銅板(漬もの名人)を使ってみた

乾燥布海苔は限りなく天然の状態に近い感じなので、砂粒やゴミ等の異物がないかどうか一応チェックした。

砂粒やゴミ等の異物がないかどうか一応チェック

布海苔を煮詰める

12グラムの布海苔を煮詰めて220グラムにしたいので、沸騰中の蒸発による目減り分を考えて400㏄の湯を沸かし、布海苔を投入。あらかじめ水で戻しておいて水から煮詰めた方が良かったのかもしれないが、そっちはまた後日あらためて試してみようと思う。鍋を焦がさないように木ベラでかき混ぜながら弱火でじっくりと煮詰め、半分くらいに煮詰めて完成。内側に目盛りが切ってある行平鍋なので、分量が分かりやすい。漬もの名人(銅板)の効果があったかどうかは、やや微妙で、期待したほどの効果は得られなかった。やはり、銅板の面積が小さすぎたのかもしれない。新品の真っさらな10円玉を鍋底に敷き詰めてみたら、もっと効果があったかも。

鍋に発色用の銅板を入れてみた

湯を沸騰させて布海苔を投入

湯を沸騰させて布海苔を投入

鍋を焦がさないようにかき混ぜながら弱火で煮詰める

煮詰めた後・色が変化したかどうかは、やや微妙

布海苔を裏ごしする

漉し器としゃもじを使って、煮詰めたふのりを裏ごしする。出来上がった布海苔の量は210グラムで、ほぼ当初の予定通り。色の変化については、確かに最初の赤紫色から比べると緑色っぽくなってはいるものの、非常に微妙としか言いようがない。

漉し器としゃもじを使って裏ごし

裏ごしした布海苔・色の変化は何とも微妙な感じ

布海苔を入れてそばを打つ

石臼自家製粉のそば粉400グラムに裏ごしした布海苔(当然冷ました状態の物)210グラムを、通常の水回しと同様に3回に分けて投入して、そばを打った。水が足らない場合は霧吹きで調整するつもりだったが、布海苔だけでうまくまとまったので、敢えて水は加えなかった。さすがに元来の用途が糊なだけあって、布海苔のつなぎの力は非常に強力で、いつも打っている二八そばよりもよほど楽に、そば粉がつながった。

そば粉に布海苔を投入

そば粉に布海苔を投入

こねてへそ出ししたそば玉

完成

自家栽培の玄そばを挽いた石臼自家製粉のそば粉の色が強すぎるのか、布海苔の緑色が弱かったのか、その両方の理由からか、残念ながら布海苔の色は、出来上がったそばに全く反映されなかった。また、へぎそば独特の「手振り」の美しい盛付け方は、やり方すら分からないので普通に盛付けしたため、見た目は、色も盛付けも完全にいつもと同じ。しかし味の方は全く残念ではなく、へぎそば独特の「腰の強さ、つるりとした滑らかな食感、仄かな磯の香り」は、ほぼパーフェクトに再現できたように思う。しかし、へぎそばを自分で打って食べる日が来ようとは、ついこないだまでは全く考えもしなかった。

完成・布海苔の色は全くそばに反映されなかった

「腰の強さ、滑らかな食感、仄かな磯の香り」は合格

へぎそば リベンジ:銅鍋をゲット

ネットで銅製の行平鍋を色々と調べてみたが、概ね1万円前後かそれ以上の価格で、かなり高価。しかも内側に錫メッキを施した製品ばかりで、肝心の使用目的にも叶わない。錫メッキをしないように注文すれば良いのかもしれないが、単に布海苔を煮て緑色に変化するかどうか実験してみたいだけなので、やはり1万円はチト高すぎる。と、少々後ろ向きの方向で二の足を踏んでいたところ、石臼を購入した例の?古物屋の店先に小汚い銅製の片手鍋が転がっているのを見つけた。和菓子屋で飴を炊くのに使っていた鍋だそうで、最近は銅が高いから二千円だという。店先に雨ざらしで転がしてある小汚い古鍋を二千円とは、ボられたなと思ったが、値切り交渉に全く応じる気配がなかったので、イマイチ納得のいかない値段だったが、言い値の二千円で購入した。

以前、テレビか何かで、「銅の緑青は、酢に塩を溶かして布に含ませて磨くと簡単に落とせる」と、聞いた覚えがあったので、家に帰って早速試してみたら、ビックリするほどキレイに汚れが落ちて新品みたいにピカピカになってしまった。鍋底に若干へこんでいびつになっている箇所がある以外は、概ね良好なコンディションだったので、取り敢えず損はしなかったのかな? という感じ。

こんな小汚い鍋を酔狂にも二千円で購入

こんな小汚い鍋を酔狂にも二千円で購入

「大改造!! 劇的ビフォーアフター」級の驚きの大変身

銅鍋で布海苔を煮詰めて裏ごし

前回と同じ条件で比較するため、400㏄の湯を沸かして12グラムの布海苔を投入。木ベラでかき混ぜながら弱火でじっくりと、半分の200cc程に煮詰めた。布海苔は、煮詰め出すと割とすぐに変色し始めて、程なく鮮やかなグリーンに変化した。前回の小さな銅板を使った時とは全く比較にならない好結果で、わざわざ銅鍋をゲットした甲斐があった。銅鍋を使って野菜や山菜等を茹でると、やはり銅イオンの効果で鮮やかなグリーンに発色させる効果があるようなので、この銅鍋は今後も何かと重宝しそう。

湯を沸騰させて布海苔を投入

弱火で煮詰めるうちに見事に緑色に変化した

裏ごしした布海苔・鮮やかな緑色に発色

布海苔を入れてそばを打つ

前回と全く同じ分量で、石臼自家製粉のそば粉400グラムに裏ごしした布海苔(当然冷ました状態の物)210グラムを、通常の水回しと同様に3回に分けて投入して、そばを打った。へそ出ししたそば玉の段階では、やや緑がかった感じで布海苔の色が出ていたが、今回も残念ながら、完成したそばには緑色は全く反映されなかった。石臼自家製粉の全層粉の色が強すぎて、布海苔の緑色は負けてしまったということなのだろう。たぶん布海苔の緑色を出すためには、一番粉系の白っぽいそば粉を使わないとダメなんだと思うが、そばを緑色にすることが「へぎそば」の目的ではないし、一応やれることはやった上での結果であり、へぎそば自体は美味しかったので、今回はこれで十分納得。

へそ出ししたそば玉・やや緑がかった感じ

残念ながら…完成したそばに緑色は反映されず