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うどん・麺類のおいしさを構成する要素について解説

うどんの好みには、地域差個人差が見られます。硬さで云うなら、関西のうどんは軟らかめで、関東では硬めのうどんが好まれるようです。しかし、これらに共通するうどんの美味しさの特徴は、もちもちした特有の粘弾性と柔軟な食感にあると云ってよいのではないでしょうか。

うどんの、この特徴的食感をつくりだすものは、小麦粉の特性と製麺技法です。両者が兼ね備わって初めて本当に美味しいうどんができるのです。

以下では、うどん・麺のおいしさを構成する要素別に解説していきます。

小麦粉

うどん用粉の場合、その澱粉の質の影響が大きく、それは原材料である小麦の性質によります。

澱粉は、ブドウ糖分子の連鎖からできていますが、このブドウ糖の連鎖には直鎖状のものと枝分かれしたものの二種類があり、前者がアミロース、後者がアミロペクチンと呼ばれています。澱粉は、このアミロースとアミロペクチンで構成されますが、両者の比率によって性質が違ってきます。アミロースの比率が小さいほどモチモチ感のあるものになります。餅米の澱粉は、アミロースがなくアミロペクチン100%です。

 

小麦の場合は品種によって違いがあり、アミロース比率は20~25%(分析法の性格上、相対的な数値)です。

先にご紹介したオーストラリヤ産小麦(全部ではありません)や北海道産のほくしん小麦は、このアミロース比率が低いのです。

小麦粉のもう一つの要素であるタンパク質は、その量の多少の他に、質の違いもあります。質としては、適性を具体的な数値で示すのは難しいのですが、水に馴染みやすく(グルテン形成が容易)、グルテンの伸長性が大きいことが、製麺を容易にします。ほくしんのような国内産小麦は、一般にこの特徴をもっています。

製麺法

製麺法と麺の品質の関係を一言でいえば、「グルテンを如何に活かすか」ということになります。

グルテンを活かすには、まず充分な加水でよく捏ねる(練る)ことです。これによって、生地中にしっかりしたグルテン組織を形成することができます。

 

次に、生地を薄く延ばして線切りするわけですが、このとき、無理に力ずくで延ばそうとすると、折角つくったグルテン組織を破壊することになります。そこで、一度に延ばそうとせず、熟成時間を間でとりながら数回に分けて延ばすのがよいのです。これによって、グルテン組織を破壊することなく目的の厚みにまで圧延する事が出来ます。

市場で「多加水熟成めん」と記載された製品を多く見かけますが、それは上記のようなことを実行したということです。

 

グルテンが活かされていても、活かし方で製品の性質が大きく変わります。その代表例が手延べめん(引き延ばし法)と手打ちや機械めん(圧延線切り法)です。引き延ばし法と線切り法での製品の相違は、その食感にあります。手延べは、グルテン組織が密で配列に方向性が強いのに対して、手打ちは、グルテン組織が粗で方向性は弱い、その結果、食感が手延べは硬く特に弾力感の強いもになりますが、手打ちはソフトな弾力感と軟らかさのあるものになります。機械麺は、一定方向にロール圧延をする結果、手打ちよりは方向のあるものになり、食感も少し硬めで弾力的になります。

麺の分類

多岐に渡る麺類を分類するには、幾つかの見方があります。

製品群別では、生麺、乾麺、即席麺、マカロニ・スパゲッティ等に分けられます。

製法別では、その一つとして麺線を形成する方法で分けることができます。まず、この製線方法の違いについて説明します。

イ.生地を引き延ばして麺線にする方法

これは加水量が多い軟らかい生地でないとできませんが、はじめによく捏ねて一つの生地塊とし、これを幾度も寝かし工程を入れながら少しずつ引き延ばして、時間をかけて一本の線にする方法で、めんの製法として日本で最も古い伝統的なものです。部分的には機械化されていますが、殆どが現在でも手作業です。

----ワンポイント----

写真は、手延べ素麺のグルテンの配列を示す顕微鏡写真です。青く染めてあるのがグルテンですが、グルテン配列が緻密で強い方向性がみられます。手延べ麺の歯ごたえに強い弾力があるのは、このグルテン配列によるものであり、この配列は生地のグルテン繊維を切る(壊す)ことなく引き伸ばすことで得られます。このために、手延べの工程は幾度も寝かしをとりながら少しずつ引き延ばすもので、1昼夜を要します。あっという間の短時間で引き延ばす手延べラーメンとは基本的に異なります。因みに、本格手延べ製法での手延べラーメンはありません(出来ません)。

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「揖保の糸」等、手延べ素麺は特に有名ですが、他にも手延べ冷や麦、手延べうどんがあります。手延べうどんでは、「稲庭うどん」が有名ですが、五島うどん、氷見うどんも手延べうどんとしてよく知られています。中華麺でも拉麺(ラーメン)というのは、元来は手で引き延ばした麺のことです。

ロ.生地を圧延して平板状にして線切りする方法

これが現在の一般的製麺方法です。生地を麺棒を使って手で延ばし、包丁で線切りするのが手打ちです。生地を対の回転ロールのあいだを数回に分けて通して所定の厚みにまで圧延し、さらに切り刃ロールに通して線切りするのが機械製麺です。上の写真は、一般的な多段ロール製麺機です。

 

現在では、機械製麺でも熟成工程が取り入れられているのが普通です。

市販の麺類は、生麺類、乾麺類、即席麺類等、マカロニ・スパゲッティと手延べ麺以外はすべてこの方法でつくられます。

 

ハ.穴の空いた型から生地を押し出して線状にする方法

生地をシリンダーに押し込んで、先端の金型から圧力をかけて押し出します。この金型の穴の形状によって、いろいろな形の麺線ができます。スパゲッティ、マカロニ類はすべてこの方法でつくられています。また、はるさめ、ビーフン、朝鮮冷麺なども線状にするのはこの方法です。

 

手延べ方式(イ)も圧延方式(ロ)も、小麦粉主体のグルテンによる生地形成を利用しています。この押し出し方式の場合は、はるさめ(澱粉)、ビーフン(米粉)、冷麺(そば粉と澱粉)のようにグルテンがなくても線状に形成することができます。

 

麺の種類

めんの分類で、製品群別として、製品の製造工程に基づいた生麺類、乾麺類、即席麺類という分け方の他に、材料や機能に基づいてのうどん類、中華麺類、そば類という分け方も出来、それぞれに生麺、乾麺、即席麺があります。

 

イ.うどん類(小麦粉、食塩)

生うどん、茹でうどん、半生うどん、干しうどん、即席うどんがあります。

 

○茹でうどんには、賞味期限の短い一般茹で麺のほか、消費期限が数ヶ月のLL(ロングライフ)麺(包装麺ともいう)、冷凍麺があります。

 

○LL麺は、茹で麺を有機酸液に浸漬した後に包装して加熱殺菌したもので、常温で長期間流通可能な茹でうどんです。

 

○即席麺としては、蒸してα化したうどんを油で揚げて乾燥したものが主体ですが、最近は改良されたLL麺も使われています。

 

○冷凍麺は、茹でたうどんを急速冷凍したもので、茹でたての食感が保たれているのが特徴です。冷凍麺は、その保存性と共に食感ががよいので、高く評価されています。冷凍麺は加熱解凍して食べますが、解凍も急速でなければなりません。解凍は、水分勾配を小さくしないため電子レンジでなく、茹で戻し(熱水中)で行って下さい。

----ワンポイント----

麺類は、茹であげた後は食感が急速に変化(のび)します。この伸びの原因は、水分が内部拡散し水分勾配が低下することによる、内部応力の減少のためと考えられます。茹で直後は、うどんの表面の水分は中心部より多いのですが、時間と共に水分が移動して、水分差が少なくなります。これを水分勾配の減少と云います。急速冷凍は、この水分の移動を止めることになるのです。

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○半生うどんは、生うどんと干しうどんの中間の製品で、生めんの水分の一部を乾燥して、生うどんの性質に干しうどんの保存性を加味(2ヶ月程度)したものです。観光地でお土産の麺類に多く見かけます。

生うどんの水分は35%程度ですが、半生うどんは23%程度で、干しうどんでは14%程度です。茹でた時の食感も生うどんと干しうどんの中間的なものです。

 

○干しうどん、いわゆる乾麺ですが、麺の太さで名称が変わります。乾麺の品質表示基準によれば、干しうどんでは断面形状が長径1.7mm以上3.8mm未満、短径1.0mm以上3.8mm未満。干しひらめんでは幅4.5mm以上厚さ2.0mm未満。ひやむぎでは長径1.3mm以上1.7mm未満、短径1.0mm以上1.7mm未満。そうめんでは長径及び短径1.3mm未満となります。

 

乾麺類は、乾燥によってグルテンが変性しているので、生めんに較べて茹でた食感がどうしても硬くなります。貯蔵性の高い食品ですが、1年以上になるとグルテンの変性がさらに進んで、茹で戻りが悪くなります。しかし、素麺のように細いものにはこの特徴が生かされます。購入後、うどんで半年以内、素麺で1年以内に使うようにして下さい。

 

 ロ.中華めん類(小麦粉、かんすい)

中華めんは、かんすいを使って生地をアルカリ性にして作った麺類です。アルカリ性にすることで、小麦粉中のフラボノイド色素が黄色に発色すると共に、グルテンが変性して特有の風味と食感を出します。小麦粉は、全般にタンパク質が比較的に多い準強力粉が使われますが、生中華麺には製麺後の変色が少ない上質の粉が使われています。

----ワンポイント----

かんすいには、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを主成分とする食品添加物が使われますが、この他に天然添加物として卵殻焼成品(酸化カルシウム)等も使われています。
 生中華麺は、家庭の手打ちには馴染みにくい麺です。理由として、かんすいは生地を締める力が強いことと、熟成してもグルテンのアルカリ変性が進行して生地が硬くなるため、延ばしづらいことが挙げられます。本格手延べが無理なのもこの理由です。
 
 うどんで、茹で溶けとpHの関係に触れたので、中華麺はどうかと心配されるかも知れませんが、pHも8.0以上になるとグテンの結合力がまた強くなるので大丈夫です。右図は、pHとゆで溶けの関係を示すものです。pHが6と9で溶出が少ないことがわかります。

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 生めん類としては、生中華めん、半生中華麺、蒸し中華めん(焼きそば)、茹で中華めん、皮類があります。皮には春巻き、ワンタン、ぎょうざ、しゅうまいがあります。皮には、かんすいは必ずしも使われませんが、統計上で中華麺類に含まれています。 
 
 中華めんにも、冷凍麺、即席麺、干し中華めんがあります。干し中華麺には、棒状らーめんやネスト状の寒干しらーめんがあり、即席麺には麺を油揚げしたものの他にLL麺を使ったものもあります。

ハ.そば類

そばは、そば粉を材料に使った麺ですが、小麦粉のように自力で生地を形成する能力がないので、小麦粉と混ぜて使うのが普通です。小麦粉の他に粘質物として海藻、山芋などが利用されることもあります。水で練りますが、食塩水もよく使われます。製品としては、生麺類、干しそば、即席麺があります。
 
生麺類としては、生そば、茹でそばがあり、それぞれの冷凍麺もあります。半生そばもあります。そば生地の特徴として、変質が速いので、生麺の流通には難しいものがあります。生そばには冷凍が適していると云えるでしょう。 茹でる前の生麺の場合は、水分が少ないので、家庭の冷凍室で凍らせても品質上の問題はありません。冷凍生麺をいきなり茹でると、茹で溶けが多くなるので、自然解凍してから茹でるようにして下さい。
 
干しそばは、当然ながら貯蔵性は高いのですが、製品の品質の幅が大変広い麺です。これは、そば粉の配合率、使用するそば粉の品質、合わせ粉として使う小麦粉の品質それぞれの相違、さらに粘質物等副材料有無、それに加えて製麺方法、乾燥方法の違い等々、品質に影響する要因が非常に多いからです。